烏森稲荷神社は、元禄14年(1701年)、佐賀藩第4代藩主・鍋島綱茂公の心願により、江戸の桜田郷に鎮座していた烏森稲荷大明神を勧請して創建された神社です。この神社は、佐賀藩主家にとって特別な信仰の対象となりました。
伝えられるところによれば、綱茂公は嫡男に恵まれず、そのことに深く心を痛めていました。江戸滞在中、かねてより篤く信仰していた烏森稲荷神社に願をかけたところ、その願いが叶い、嫡男を授かったといわれています。この出来事を機に、綱茂公は佐賀の地にも同神社を勧請し、祀ることとなりました。
神社はその後も佐賀藩主家に深く信仰され、代々の藩主たちが参勤交代の折に道中の安全や江戸での平穏を祈願する慣例が続きました。そのため、烏森稲荷神社は藩主家にとって重要な守護神の一つとなりました。